2023年 個人的年間邦楽ベスト盤

◆PUNK

2023年 個人的年間ベストアルバム

サメちよくん
サメちよくん

今年ももう終わりだねー!2023年はどうだった?

シャチもか
シャチもか

2023年はコロナ禍よりも規制緩和されてライブやフェスも増えたし、やっと現場が戻ってきたよね。声出し解禁で活気も戻ってきた感あるかも〜

DJ SYUMOKU
DJ SYUMOKU

ライブシーンにとっては雪解けの年だったかもしれないね。色んな意味で抑圧されてきたものが放出されて、今年もヤバい作品がめちゃくちゃ世の中に生み出されたって印象だよ

 クリスマスが終わると一気に年末モードが加速していくのが、どこか寂しくもありつつ、ドキドキワクワクしますね。2023年、皆さんはどんな年だったでしょうか?

 レコ屋店員時代からその年に聞いたアルバムでよかったものをまとめてレビューするのが年末の恒例行事となっているので、今年もガッツリ超個人的ベスト盤をまとめてご紹介させてください!今年聞いて「このアルバム良かったな〜、こういうの好きだな〜」と思った作品を集めた超個人的な年間ベストアルバムです。邦楽が好きなので、日本のインディーズ中心。フルアルバム、ミニアルバム、EPなど複数曲入っていたらヨシ!としています。

 頭に数字をつけてますが便宜的なもので、特に順位とかではないです。

 友達に勧めるような感覚で書いているので、気になったアルバムがあったら友達に勧められたような感覚で聴いてみてくれたら嬉しいです。これが出会いのきっかけになってくれたら嬉しいです。

邦楽ロック / インディーズ

サメちよくん
サメちよくん

日本のロック、インディーズを中心にピックアップ!叙情的だったり、日本人ならではの感性が光るバンドを中堅〜若手までご紹介。もっともっと評価されても良いのにってバンドや、今年出会って衝撃を受けたバンドの作品も多数!

1.アルバム第2集 / 台風クラブ

 京都発、“日本語ロックの西日”3人組ロックバンド、台風クラブ
 2017年処暑発売、ファースト・アルバム『初期の台風クラブ』で全国のレコード屋店員と日本語ロックファンを瞬く間に虜にし、今や日本のロック史に残る名盤とも言われるほど深く愛されている作品になりましたが、首が長〜〜〜くなるほど待ち望んだセカンド・アルバム『アルバム第二集』が2023年2月22日(猫の日)にリリースされました。

 台風クラブの魅力といえば、四季を感じさせ情景が浮かぶ日本語詞、哀愁漂うメロディ、気怠げで自然体なヴォーカル、うねるようなベースライン、歌心あふれるドラム…。ひっくるめて一言で表すならば、飾り気のない生活感が溢れる四畳半ロック。湿度のある在りし日の光景が強烈な匂いとともに想起させられて、ふとすれば泣いてしまいそうになる。邦楽好きの琴線に触れる珠玉の楽曲達

 今作もたっぷり待たされた日本語ロックファン達の期待に応える、いや、期待を超えて胸を熱くさせる一作でした。こちらの逸る気持ちに重なるような疾走感のあるイントロでカマしてくる「野良よ」に始まり、ざらついた質感のバンドサウンドこれでもかと我々のノスタルジアを刺激して、鮮烈なロック体験を味合わせてくれる。
 やっぱり台風クラブは最高なんだよなあ。結局は、この一言に尽きる。

2.グッドバイブレーション / the 奥歯’s

 広島発、次世代を担うスリーピース・パンクロック・バンド、the 奥歯’s
 初期衝動!熱狂!とてつもないエネルギーを全身に浴びせるようなパンクロックを突きつけられてしまった!どストレートなパンクロックをかき鳴らしながら、でもどこか叙情的で、切なくて愛おしい。これが令和の時代に新解釈された青春パンクとも言えるかもしれない。

 今年出会ったバンドの中で一番衝撃的だったのは間違いなくthe 奥歯’s。いや、良すぎるだろ!っていう意味で。2023年3月に1st Mini Album『夜の住人』を発売。そして、12月に早くも1st EP『グッドバイブレーション』を発売。正直、もっと聴きたい。素晴らしい可能性しか感じないし、リリースを追うごとにものすごい勢いで成長しているので、おそらく近い将来、もっと大きなバンドになると思う。

 パンクロックはまだまだ死なない。それどころか物凄い勢いで燃え盛っている感じすらあって、それが嬉しい。

3.ugly beauty / DENIMS

 大阪堺出身四人組バンド“DENIMS”!
 オシャレだけどどこか泥臭い、遊び心たっぷりのサウンドが心地いい彼らの3rdフルアルバム『ugly beauty』
 ファンクやブルース、シティポップにギターロックなど雑多な音楽ジャンルを、DENIMSならではの独特なノリとグルーヴ感で包み込んでいく。ブラックミュージックが好きな人も、ヒップホップが好きな人も、古着好きも、カフェが好きな人も、あらゆる人々に響く楽曲群。ジャンルレスにかき鳴らされるDENIMSの音楽は多くの人の心に寄り添い、作品を世に出すごとにその輪が広がっていっていると感じます。

 良い意味で肩の力が入っていない気楽さ・緩さが心地よくて、心の奥深くまで浸透していく感じがする。飾らない等身大のままでいられる気がする。バンドとしてのキャリアを重ねて、円熟味が増した。このバンドは年輪を重ねるごとにどんどん深みを増して良い味になっていく気がしてなりません。それでいて、“永遠の少年”感もある。    
 DENIMSのそんな魅力に惹かれ続けています。

4.BUDDY CLUB / TENDOUJI

 2014年、中学の同級生をきっかけに結成された四人組インディ/オルタナバンド、“TENDOUJI”
 と言いつつも、結成したのはメンバー全員が20代後半に差し掛かった頃で、バンド・楽器経験もほとんどないところからスタートしたと聞いた時は心底驚きました。バンドとしては遅咲きの部類になりますが、瞬く間に注目を集めたのはその楽曲の良さゆえ。

 心地のいいグルーヴに自然と体が揺れてしまう。90年代オルタナシーンに影響を受け、USの香り漂う気持ちのいいサウンドと、思わず口ずさみたくなるキャッチーなフレーズの数々に心を奪われてしまうこと間違いなし。洋楽好きの少年たちが、遊び心満載に、自分たちがかっこいいって思う音楽を突き進んでやってる感じが最高にかっこいい。

 2023年4月リリースとなった最新EP『BUDDY CLUB』は、これまで以上に大暴れしつつも最高に楽しませてくれるポップ・パンクな仕上がりで、胸のドキドキが収まりませんでした。自らを“EASY PUNK”と掲げるTENDOUJIらしい、エモーショナルなポップパンク。と言いつつもアコースティックなナンバーもあったりと、型にハマらない遊び心たっぷりな一枚に仕上がっている。

 TENDOUJIは楽曲がかっこいいのは勿論、ライブもめちゃくちゃ楽しいですし、ストリートなファッションだったりアートワークに至るまで、どこもかしこもセンスが良くて参ってしまう。かくいう私もそうですが、彼らのスタイルが好きな人にとって、ハマったら抜け出せない魅力たっぷりなんですよね。
 いつまで経っても悪ガキで居ることってめちゃくちゃカッコイイことだって教えてくれている気がします。

5.フー・ドゥー・ユー・ラブ / フー・ドゥー・ユー・ラブ

 2021年夏結成、村上貴一(ex.キイチビール&ザ・ホーリーティッツ)と岩出拓十郎(本日休演)の二人のソングライターを擁し、ドラムには樋口拓美(本日休演)を据えた注目のスリーピースバンド

 日本のインディーズ・バンドの底力見たり。日本のロック・シーンにはこういうバンドが生まれてくるから目を離せません。これまでの洋邦ロック史を踏まえつつ再解釈し、自由な感性で掻き鳴らす純度の高いロックンロールに唸らされます。既に、それぞれのバンドや活動でもコアな音楽ファンを夢中にさせていますが、フー・ドゥー・ユー・ラブというバンドで、それぞれの才能をぶつけ合わせ生み出された化学反応のような楽曲たちは、更に多くの音楽ファンを魅了すること間違いなし。

 発売日周辺、各地のレコードショップでこのアルバムがかけられ、「これ誰の曲ですか?」が続出して居ただろうな、ということは想像に容易いです。中毒性抜群。えも言われぬ魅力たっぷりの彼らのサウンドにハマってしまったが最後、心地良すぎて抜け出せません。

6.炙りなタウン1-死にたくなってからが本番- / 炙りなタウン

 2018年結成。岡山発!スリーピース・パンク・バンド“炙りなタウン
 全身全霊。どこまでも青臭く、がむしゃらに、生きてる証を刻むように歌う日本語パンク/青春パンクシーンで今まさに注目の若手バンドのファースト・フル・アルバム『炙りなタウン1 死にたくなってからが本番』

 ハスキーで、がなるようなボーカルが印象的で心臓をぶち抜かれます。彼女達のパンクはありのままで、震えるほど熱いけれど、押し付けがましくない。それは、世界を変えようという大義ではなく、目の前の観客やイヤホンの向こうの一人一人に向けて確実に届くように歌っているからで、そういうバンドを必要としていて救われている人がいる。溢れるほどのエネルギーで、今、青春時代にもがいている若者も、いつかの青春時代を振り返りながら進んでいる大人達にとっても、心臓のど真ん中で響いてくれる。そんな気概があるバンドです。

 使う単語の端々にパンクロックへの愛が感じ取れるのも良いんですよね。徐々に注目度が高まっている最中、満を持してリリースされたこのファーストフルアルバム。タイトルも良い。期待を上回る充実度で、繰り返し繰り返し聞きたくなること間違いなし。パンクファン必聴の傑作です。

7.パグスの中毒 / puggs

 2020年冬結成。関西拠点に活動中、レトロでモダンなスリーピースバンド“puggs”(パグス)!
 昭和歌謡やフォークな魅力たっぷりな叙情的なギターロック!楽曲によっては、ロカビリーなどのオールドロックの影響も感じます。そこら中に散りばめられた、音楽への愛をひしひしと感じるフレーズの数々にときめきが止まらない。瑞々しいようで、どこか湿り気のある。そんなpuggsの世界。日陰を感じるロックは、必ず誰かの心の隙間を埋めている。

 2023年4月12日発売、全5曲収録の1st EP 『パグスの中毒』がめちゃくちゃよかった。
 全5曲とは思えないくらい濃密なEP。中毒性抜群。しっかりと自分たちの色があって、聴く者を没入させる感覚のある独特の世界観を持った楽曲群。耳心地が良いけど、どこかひねくれている感じがあって、ポップなだけじゃ物足りない邦楽ファンにはたまらなく刺さるバンドだと思う。

 特に「シンドバッドが悩ましい」は名曲です。まだ見つかっていないのが不思議なくらいで(2024年1月初旬で約2700回再生)今年このバンドに出会えたことが嬉しくて仕方ない。日本の街のそこかしこに落ちている感傷や美しいだけじゃない記憶の欠片を拾って集めたような言葉の数々と、耳心地のいい秀逸なメロディに没入してほしい。
 今後も要注目のバンドです。

メロディック・パンク / 日本人パンク

DJ SYUMOKU
DJ SYUMOKU

疾走感溢れるサウンド!表現豊かに、メロディアスに歌い上げられるメロディック・パンクを中心に日本人パンクバンドからセレクト。泣きメロはやっぱり良い。

8.Rest In Punk / HEY-SMITH

 2006年結成。大阪発、現在6人編成のパンクバンド “HEY-SMITH”(ヘイスミス)
 ギター、ベース、ドラムに加え、サックス、トランペット、トロンボーンといったホーン隊を擁することにより、SKA×MELODIC PUNKの融合を果たした爽快なパンクサウンドが魅力。それだけでなく、重厚なヘヴィメタルやハードロック、ラウドロック的なアプローチの楽曲もあるため、明るいメロディック・パンクチューンからヘドバン不可避の激情型サウンドまであらゆる角度からライブ会場を揺らすHEY-SMITHの魅力は底知れないものがあります。

 アルバムタイトルでもあり作品のラストを飾る楽曲「Rest In Punk」はR .I.P(rest in peace(英) / requiescat in pace(ラテン) 安らかに眠れ)の意を込めたものだということがパンクファンなら一発で理解できる。2023年2月14日、Hi-STANDARDの恒岡章の突然の訃報。日本のメロディックパンクの第一人者とも言えるハイスタのドラマーであり、パンクロックヒーローの死は、バンドマンを中心に多くのパンクファンにとって多大な喪失と悲しみをもたらしました。猪狩秀平(Gt./Vo.)にとって近しい存在でもあり、憧れの存在でもあるツネさんに対する想いが込められた一曲。リスペクトと愛、そして決意が込められた名曲です。

 これぞHEY-SMITHというスカパンクぶちかまし楽曲、バンドの哲学、主張を感じる楽曲から始まり、中盤から後半へかけて、だんだんとパーソナルに、心の内側へ入り込んでいくアルバム構成。ショートチューン多数で怒涛の展開は納得のパンクアルバムではありながら、深みがある。楽曲に共鳴し、胸が熱くなること間違いなし。

9.Get over / Stuck in Life

 札幌発。スリーピースメロディックパンクバンド“Stuck in Life
 2020年に1st EP『Standing here』をリリース。同年2nd EPをリリースしてから約2年半ぶりとなる待望の3rd EP『Get Over』(2023年2月8日発売 )。1曲目を再生した瞬間から一気に引き込まれてしまいました。

 疾走感申し分なし!哀愁たっぷりの泣きのメロディックが魅力。メロディックパンクファンの痒い所に手が届くような、セオリーを踏襲しつつもイマへとアップデートされているサウンドが気持ちいい。

 勝手な印象ですが、Northern19やOVER ARM THROWが好きなら特に刺さるんじゃないでしょうか。拳を突き上げながら胸を震わせることができるような楽曲はライブ映え必至。おそらく対バンでどんどんファンを増やしていくタイプのバンドだと思うので、今後が楽しみで仕方がないです。

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