雨の日に聴きたい邦楽曲10選〜SAME RECORDS presents

◆邦楽ロック・J-POP

サメちよくん
サメちよくん

だんだん雨が増えてきたね。そろそろ梅雨入りなのかなあ

シャチもか
シャチもか

本州は今年も6月上旬ぐらいから梅雨入りするらしいよ〜。梅雨って当たり前だけど雨ばっか降るし、服装にも気を使ってしんどいけど、雨の曲って切なくて良い曲がめっちゃあるよね。

サメちよくん
サメちよくん

というわけで、今回はSAME RECORDSが選ぶ「雨の日に聴きたくなる邦楽曲」10選を紹介していくよ!雨の憂鬱な気分を吹き飛ばしたり浸ったりできる曲たち。よかったらあなたのプレイリストに追加してくれたら嬉しいな〜!


 今回はSAME RECORDSならではという観点で「雨の日に聴きたくなる邦楽曲」を10曲ご紹介していきたいと思います。当サイトの趣向で邦楽ロック、90年代〜10年代中心に偏りますが、定番どころからまだまだ知られていない名曲まで解説付でご紹介。雨の曲でまとめてみるといろんな切り口があってなかなか面白かったです。
 あなたも気分が盛り下がりがちになる梅雨を乗り越えるプレイリストを作ってみてはいかがでしょうか?

ASIAN KUNG-FU GENERATION「迷子犬と雨のビート」

2010年15thシングル。2010年6thフルアルバム『マジックディスク』収録。

 1996年結成。アジカンの愛称で幅広い世代に愛され続ける日本のロックバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアンカンフージェネレーション)。キャリアの長いバンドということもあり、「雨音」や「夏の日残像」など雨をテーマに歌う曲はいくつかありますが、雨というテーマで思い浮かべる人が多い有名曲として「迷子犬と雨のビート」は外せないのではないでしょうか。

 2010年5月26日発売、15枚目のシングルとなった「迷子犬と雨のビート」
 同年6月発売の6thアルバム『マジックディスク』にも収録されているこの楽曲ですが、バンドサウンドを追求するアジカンにとって珍しいホーンアレンジが際立つ楽曲なのも注目点。アジカンのCDジャケットをデビュー作から現在に至るまで長年担当しているイラストレーター・中村佑介がビジュアルデザインを手がけたアニメ『四畳半神話大系』(原作・森見登美彦)のOPに起用されたのもあり、広く認知されています。

 雨の歌でありながら希望を感じさせる歌詞とメロディ。雨粒が弾けるようなサウンド。アジカンらしい独特の単語選びでイマジネーションの海へと飛び込んでいけるような楽曲です。

 シングルのカップリング曲は「雨上がりの希望」(B面・レアトラック集「フィードバックファイル2」収録)というのもあり、アジカンらしいロックでありながらキャッチーに雨を歌った1枚でした。

キリンジ「雨は毛布のように」

2001年発売7thシングル。2001年4thアルバム『Fine』収録。

 1996年、実兄弟の堀込高樹堀込泰行の二人組で結成されたバンド、キリンジ
 2013年に堀込泰行脱退に伴い6人編成バンド「KIRINJI」となり、現在では堀込高樹ソロプロジェクトとなって活動中です。そんなキリンジも「雨を見くびるな」「Lullaby」のように雨をテーマにした曲がいくつかありますが、その中でもキリンジならではの視点が光る名曲「雨は毛布のように」をピックアップ。

 2001年6月13日発売、7thシングルである「雨は毛布のように」
 同年11月発売4thアルバム『Fine』にも収録されています。
 キリンジといえば、脱力感のあるお洒落なポップスかと思いきや、大胆かつ挑戦的なアレンジと一筋縄ではいかない捻くれっぷりで音楽ファンを虜にし続けてきた唯一無二の存在独自の視点で展開される文学的な歌詞も、聴けば聴くほど深く胸に染み込んできます。

 「雨は毛布のように」雨に打たれる恋人たちの戯れの一コマを歌った名曲
 雨というのは陰鬱なようですが、恋人たちの前ではふざけ合って仲直りするためのひとつのシチュエーションに過ぎないというようなドラマチックな情景を描写している楽曲。“ 雨は毛布のように この僕らを包む ”という独創的な表現はまさにキリンジにしか出せないキラーフレーズ。都会を感じさせるサウンドと踊り出したくなる軽やかなメロディで、雨の日に思わず口ずさみたくなるような楽曲です。

 マキシシングルの方のびしょ濡れな猫ジャケットも印象的。余談ですが、この曲のバックコーラスにはaikoが参加しています。

フジファブリック「雨のマーチ」

2005年2ndアルバム『FAB FOX』収録。

 2000年結成。情緒溢れる楽曲と予測不可能な展開で高い中毒性を誇る日本のロックバンド、フジファブリック
 当サイトでは毎度お馴染みになりつつあるフジですが、叙情的な楽曲の多い彼らにはもちろん雨を題材にした楽曲が多数存在します。その中でも真っ先に思いついた楽曲が「雨のマーチ」でした。

 2005年11月発売、2ndフルアルバム『FAB FOX』の収録曲である「雨のマーチ」
 昭和歌謡のような物悲しさ溢れる歌詞とメロディ、雨音のように鳴るキーボードを始めとした楽器隊の規則的なフレーズが印象的な雨の歌。ベースの重厚感も雨雲に覆われて暗い街を表しているかのよう。全体を通して仄暗さを漂わせ一定のリズムが不穏さを醸し出しています。途中のアカペラ部分が非常に良くて、ダウナーな曲の中で聴き手に与える緊張感が一層この曲に深みを与えています。

 そして“ 雨のマーチでほろり ほろり ほろり ”という繰り返しのフレーズが頭を支配していきます。おそらく「マーチ」と「街」がかかっているダブルミーニングでしょう。
 アルバム収録の比較的短い曲ながら、雨の曲といえばこの曲が真っ先に浮かぶくらいの異質な存在感。陰鬱な雨を見事に表現しきった隠れた名曲だと感じます。

04 Limited Sazabys「Squall」

2017年3rdシングル。2018年3rdフルアルバム『SOIL』収録。

 2008年結成。名古屋発、四人組メロディック・パンクバンド04 Limited Sazabys(フォー リミテッド サザビーズ)。フォーリミの愛称で親しまれる彼らの武器は何といっても疾走感あふれるメロディと胸を打つ歌詞、ボーカル・GENのまっすぐなハイトーンボイス。熱量の高いライブとこだわり抜いた珠玉の楽曲たちで観る者聴く者の心を掴んで離しません。

 そんなフォーリミからは2017年発売の3rdシングル『Squall』(スコール)を選曲。
 雨と言ってもこの楽曲はスコール。スコールとはにわか雨や雷を伴うこともある強い突風のことを指しますが、この楽曲も静かな雨ではなく、不安や弱音を流してくれる激しい雨を描いています。

 偽った自分から本当の自分に生まれ変われという優しくも強く訴えかけるメッセージソング。疾走感あふれるメロディーと爽快なバンドサウンドで一見すると明るい曲のように感じますがそうではなく、歯を食いしばるような悔しさも歌っているからこそ胸を打つ楽曲に仕上がっています。ライブで、特に野外の夏フェスで聴くと、雨上がりの空や青天に響き渡っている光景に、一層この曲のパワーを感じてグッと来ます。

GO !GO!7188「映画と雨降りの朝」

2006年発売5thアルバム『パレード』収録。

 1999年結成。2012年に解散したスリーピースロックバンド、GO!GO!7188(ゴーゴーナナイチハチハチ)。
 ユウとアッコに男性ドラマーのターキーを加えたスリーピース。オルタナティブ・ロック時にパンクなサウンドと、歌謡曲や民謡を感じさせる和のメロディが融合した和製ロックサウンドが魅力。平成の音楽シーンに確かな存在感を残した唯一無二のバンドです。

 2006年10月18日発売、5thアルバム『パレード』収録の「映画と雨降りの朝」
 外で降っている雨と、部屋の中で抱き合って眠る二人。悪意まみれの外の世界と、恐れや迷いから守られた二人の心の世界との対比が描かれたロックバラード。骨太なサウンドながら一曲の中で静と動を両立させており、心の柔らかいところにまっすぐ響いてきます。
 GO!GO!7188の圧倒的存在感の上で成り立つ突き刺すようなロックナンバーも魅力的ですが、アルバム収録曲のミディアムテンポな曲の中にはこういう名曲がたくさんあって、独特ながら美しく優しい言葉の数々に救われてきました。自分以外にもそういう人は多いのだろうと思います。

 GO!GO!7188の雨の曲といえば、「映画と雨降りの朝」以外にも同じアルバムに収録されており軽快なリズムが心地よい「雨上がり アスファルト 新しい靴で」や、2003年発売3rdアルバム『鬣(たてがみ)』収録の「雨のち雨のち雨」などもあります。これらの楽曲やアルバム以外にも名盤多数なので、ぜひチェックしてみてください。

レミオロメン「雨上がり」

2003年インディーズ1stシングル「雨上がり」。2003年1stアルバム『朝顔』収録。

 2000年結成。山梨発、スリーピースロックバンド、レミオロメン
 2012年から活動休止を発表。季節が巡るごとに四季折々のヒット曲が話題に上がり、活動休止中の今もなお幅広い世代に愛され続けているバンドです。

 レミオロメンにはデビューする1年前に地元の神社の母屋をスタジオ代わりに借りて曲作りをしている神社時代”があり、その時代の楽曲はインディーズ1stミニアルバム『フェスタ』1stフルアルバム『朝顔』に多数収録されています。この『朝顔』にも収録されているインディーズ1stシングル「雨上がり」(2003年5月21日発売)も神社時代の楽曲。その時代の楽曲は特に山梨のはっきりとした四季や原風景を歌った楽曲が多く、今もなおファンに愛され続けています。
 「雨上がり」という楽曲は、レミオロメンの初期衝動を詰め込んだ叙情的なロックナンバー。丁寧な風景描写と雨上がりの美しさ。そこに見出した確かな希望を歌った、今もなお色褪せることのない名曲です。

 レミオロメンの雨の歌で思いついたので言うと、2ndアルバム『ether [エーテル]』収録の「五月雨」という曲も。こちらもカッコいいので、併せてチェックしてみてください!

東京事変「群青日和」

2004年1stシングル。2004年1stアルバム『教育』収録。

 2004年本格始動。椎名林檎を中心に結成された五人組ロックバンド、東京事変
 シンガーソングライターであり時代のカリスマでもある椎名林檎がバンドを組む、しかもバンドメンバーがバックバンドを務めていた凄腕のテクニカルプレイヤーだらけだということで大きな話題を呼びました。2012年に解散するも、2020年に「再生」と称し再始動。音楽ファンを魅了し続けている最先端のロックバンドです。

 2004年9月8日発売、記念すべきデビューシングル「群青日和」
 “新宿は豪雨”という鮮烈な歌い出し。「歌舞伎町の女王」や「丸の内サディスティック」であったりと椎名林檎の描く都会像は度々楽曲から感じることができましたが、「群青日和」においての東京・新宿の光景は、彼女の哲学をしっかり感じ取れながらもストレートなロックサウンドに乗せて描かれる新境地でした。
 もちろんそのまま風景描写としても受け取れますが、人混みや群衆の中の孤独という心象描写としても受け取れる歌詞。椎名林檎ならではの文学的な言葉選び、ドラマチックな展開と疾走感のあるメロディが光るバンドサウンド。椎名林檎名義ではなく、東京事変というバンドだからこそ生まれた名曲です。

モーモールルギャバン「悲しみは地下鉄で」

2010年メジャー1stミニアルバム『クロなら結構です』収録。

 2005年結成。アバンギャルドなサイケロックバンド、モーモールルギャバン
 現在はドラム、ベース、キーボードという編成のギターレス・スリーピースバンド。破天荒なライブスタイルと、赤裸々な歌詞と中毒性の高いポップサウンドを武器に、国内に留まらず海外にも活躍の場を広げています。

 2010年6月23日発売、メジャー1stアルバム『クロなら結構です』収録の「悲しみは地下鉄で」
 モーモールルギャバンというバンドは一見してアングラパンクバンドやコミックバンドという印象を受ける人も多いと思いますが、彼らの真髄は更に深いところにあると思います。溢れ出る人間味。飾ることのない剥き出しの感情。どうしようもない逸れ者たちにこそ響く美しさがあるのです。人生を上手くやれていないと思っている人にこそ聴いてほしいし、そういう人にはきっと優しく響くと思います。

 “人間ってなんですか 食えるんですか 金になりますか”という歌詞。答えはそれぞれの中にあるかもしれないし、答えなんてないのかもしれない。悲しみ、惨めさ、やるせなさ、どうしようもない自分に対する諦め、そういったものを全て包括して、優しくも切ないメロディと共に聴き手の胸の内に染み渡っていきます。
 まだ外はひどい雨だね、という最後のフレーズの余韻が聴き終わった後もずっと胸に残り続けます。同じ景色を見て、同じ絶望の中で寄り添ってくれているように感じます。

サカナクション「雨は気まぐれ」

2008年2ndアルバム『NIGHT FI SHING』収録。

 2005年活動開始。シンセサウンドが光るダンスロックで独自路線を走り続ける5人組バンド、サカナクション
 ジャンルに捉われず、常に新しい可能性を探し求めながら貪欲に音を楽しむ姿勢で、コアな音楽ファンからライトリスナーまで幅広い世代に愛されています。

 2008年1月23日発売『NIGHT FISHING』収録、「雨は気まぐれ」という楽曲。
 シンセサウンドを武器にする点から規則的な音や視覚情報がある“雨”というモチーフが映えるのかもしれません。夜の雨と掴みきれない人の心を歌った、サウンド的にも歌詞世界的にも没入度の高い楽曲。静かで規則的なメロディとは裏腹に浮かない心と不安定さを歌う歌詞が、どことなく気が沈む雨の曲としてぴったりです。
 サビの冒頭にあり題名にもなっている「雨は気まぐれ」というフレーズは、その後に制作される「Ame (A)」という楽曲の歌詞にも採用されています。ボーカル・山口一郎の心象世界を表現する上で重要なキーワードなのかもしれません。その後に続く「Ame(B)」という楽曲では曲調が激しさを増し、傘というモチーフが登場します。この三曲の共通項を見るのか、それとも時間の流れと解くのか。もしくは別のストーリーなのか。三者三様の良さがあるので、ぜひ聴き比べて考察してみるのも面白いかもしれません。

 そして、サカナクションの雨上がりの曲として「夜の踊り子」があります。雨シリーズの楽曲とは打って変わってダンサブルに跳ねるようなメロディと追い詰められながらも希望へ向かう歌詞が魅力的な名曲です。

RADWIMPS「雨音子」

2009年5thアルバム『アルトコロニーの定理』収録。

 2001年結成。人間について歌い、人間を解釈し続ける唯一無二のロックバンド、RADWIMPS(ラッドウィンプス)。今もなお日本のロックバンドの最前線を走り続け、国内外から高い評価を得ています。

 2009年3月11日発売、5thアルバム『アルトコロニーの定理』収録の「雨音子」(あまおとこ)。
 美しいメロディと歌声が聴き心地のいい、全編英詞の切ないラブソングです。漢字や響きから様々な意味が込められている造語であるのも、RADWIMPSならではのタイトルで魅力的です。

 ストーリーとしては、雨の日の朝、いつものように君から電話が来て会いに行く僕。雨の日には君の傘になって怖いものから守ってあげると歌いながら君の元へ会いにきますが、辿り着いたところで雨が止んでしまう。雨が止んだ途端、インターホン越しに「雨が止んだから友達と遊びに行くんだ」とお役御免を伝えられてしまう。その後続く歌歌詞にある部分の“Because I’m in charge of rainy days”を直訳すると、“何故ならば僕は雨の日の担当者(管理者)だから”となります。つまり“雨の日の男(=雨男)”だから、と言う意味になるのです。
 雨の日だけ必要とされる関係。もしかしたら傘や雨宿り先のような関係を比喩しているのか、それとも擬人化なのか。気まぐれな君に振り回されていることを気候に重ねて歌うラブソングなのか。様々な解釈が膨らむオシャレな雨の歌です。

増井 鮫

平成生まれ平成育ち。好きなジャンルは日本のロック・ポップス、インディーズ、メロディックパンク、アイドル。元レコ屋店員。発散場所がなくなったのでブログ開設。売りは熱量のみというしがないオタクです。

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