2023年 個人的年間邦楽ベスト盤

◆PUNK

OTHERS(J-POP/K-POP etc)

シャチもか
シャチもか

今年は昨年に増してサマソニなどの来日アーティストが注目されて盛り上がりました。加熱するK-POPブームと共に国内でもJO1やINIを輩出したオーディション番組PRODUCE 101 JAPAN(通称日プ)の第三弾の日プガールズなど、アイドルシーンも盛り上がりが加速してる感じ。アイドル、ポップス、ヒップホップなど先述以外のジャンルからピックアップ♡

10.REBOOT / TREASURE

 BIG BANGやBLACK PINKを輩出した韓国大手事務所YG ENTERTAINMENT所属、10人組ボーイズグループ“TREASURE”(トレジャー)。

 正直このラインナップだと異色すぎるので入れるの迷ったんですが、結局2023年一番聞いたであろうアルバムを入れないなんて嘘はつけなかった。K-POPブームが再来している現在、どれを推していいか迷うほど多くのグループが誕生し活動していますが、TREASURE独自の魅力といえば、YGの血脈を受け継いだHIPHOP魂、仲が良く個性あふれる強烈なキャラクター性、熱量の高いライブの三つが挙げられると思います。
 
 韓国の大手事務所の中でも特にHIP HOPで有名なのがYGというぐらい、自分達のリリックで生き様を示すラッパーたちが魅力ですが、TREASUREのラップライン1も正にそうです。それに加えてクオリティが高く魅力的な自作曲を作るメンバーが多く、今回のアルバムではジュンギュ、ヨシ、アサヒの3名の自作曲が収録されています。特に大阪出身のアサヒの楽曲は日本人の感性がたっぷり。LOVE SICKは前作日本盤収録の「病」という楽曲の韓国語バージョン。日本語詞とはまた違った魅力が楽しめます。
 2024年開幕から今作を引っ提げた日本ツアーが予定されており、日本各地で熱量の高いライブを見せてくれること間違いなし。彼らのコンサートはバンドの生演奏を従えているので、ライブ感を味わいたい人にもオススメ。一度行ったらまたあの空間に戻りたくなるほど病みつきになります。

 日本出身のメンバーたちが基本的に西日本出身なのもあり、韓国人メンバーが突拍子もなく流暢な関西弁で喋り出すので最初は驚くかもしれません…。唯一無二すぎて片足突っ込んだが最後、抜け出せない魅力が待ってます。

11.ジュースごくごく倶楽部の1杯目 / ジュースごくごく倶楽部

 昔から芸人と音楽の親和性はめちゃめちゃ高いことはJ-POPヒットチャートの歴史を振り返っていても自明ですが、”ジュースごくごく倶楽部”という令和注目の芸人バンドをご存知でしょうか。
 大阪発。2019年結成。よしもと漫才劇場2に所属していた人気若手芸人6人3からなるロックバンド。
 芸人バンドってどうせコミックバンドでしょ?と侮ることなかれ。楽曲を聞いていただければ分かる、ガチバンドです。全員が芸人であり、バンドが本業じゃないメンバーで構成されているのにこのクオリティはセンスの賜物。専業バンドじゃないからこその良さも相まって、彼らにしか出せないスタイルが確立されています。

 いい意味で気負いする必要がない、何も考えないで聴けちゃう等身大な音楽がいい。疲れた時に聞くと、明日も頑張ってみるかという気分にさせられる。脱力感がありながらどことなく漂う哀愁や、芸人さんならではのセンスが光る言葉遊びもいい。普通は題材にしないだろうことをフックに、クスッと笑ってしまいながら胸に沁みるような楽曲だったり、その場を掌握して盛り上げるような楽曲だったりと溢れる魅力に気付けば夢中にさせられてしまう。
 一度覚えたら忘れられないバンド名のように、一度聞いたらクセになってしまう中毒性の高いバンドです。

12.NIGHT DANSER / imase

 コロナ禍に音楽制作を始めTik Tokから楽曲が広まっていき、僅か一年ほどの2021年にメジャーデビューを果たした若き才能“imase”(イマセ)。どこか脱力感のあるボーカルが魅力ベッドルーム・ポップ4で注目を集め、今なおシティポップや歌謡曲、R &Bなど様々な音楽ジャンルを吸収しながら進化し続けている次世代アーティスト。

 国内に留まらず、韓国を中心にアジア諸国での人気が高まっており、韓国の配信サービス“Melon”のTOP100に日本人アーティストとして初のランクインを果たしました。近年、国外ではシティポップ/ライトメロウの人気が加熱していることもあり、この「NIGHT DANCER」という楽曲の持つ感性がマッチした結果だと思います。2023年の韓国内ではこの楽曲と、おそらくYOASOBIの「アイドル」の2曲がJ-POPの持つイメージの再構築を果たしたと言っても過言ではないでしょう。

 「NIGHT DANCER」自体は2022年夏に配信シングルでリリースをしているのですが、DJ・プロデューサーのTeddyLoidのRimixや、韓国で大人気の若きラッパーBIG Naughtyとのコラボ、英語ver.や韓国語ver.をまとめた2023年5月配信リリースの“NIGHT DANCER”EP。

 imaseの凄いところは、彼が音楽的素養をほとんど持たない独学で、1リスナー的な観点から曲作りをしていること。もちろん天賦の才能でもあると思いますが、むしろ彼の魅力はそこではなく。感受性の豊かさと純粋に音楽を楽しんでいる素直な気持ちが、多くのリスナー達に共感を得られている理由なのではないでしょうか。リリースするたびに、ライト層からヘビーリスナーまで満足させるようなポップセンスに目が離せません!

総括

 いかがだったでしょうか?
 この時期にはアーティストや著名人を含む色んな年間ベスト盤が出ていると思いますが、他とはあんまり被ってないラインナップになったんじゃないかなと思います。被ってたらそれはそれで素敵なことです。
 毎年個人的にやってきていることではありますが、自分で再確認してみることで、今年もこの人のアルバムが好きだったな、とか、今までにない作品を聴いてるな、というのも見返せて良いなと改めて感じます。
 気になる作品があったらぜひ聴いてみてください。良い出会いのきっかけになれたら嬉しいです。

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  1. 【用語解説】ラップライン…おそらくK-POP用語。ひとつのグループの中でラップ担当/ラッパーが複数人いる場合、それをひとまとめにしてラップラインと称する。今回のTREASUREにおいては、ヒョンソク、ヨシ、ハルトの3名がまとめてラップライン。同様に、ボーカルライン、ダンスラインというまとめ方も。 ↩︎
  2. よしもと漫才劇場…吉本興業の劇場のひとつ。2014年12月オープン。大阪難波千日前にあり、大阪吉本の若手芸人が多数所属する劇場。かつてアインシュタインや見取り図、ミルクボーイといったメンバーも所属していた。現在(2023年12月時点)ではさや香、かべポスターといったM-1ファイナリスト、キングオブコント2022チャンピオンのビスケットブラザーズなどを筆頭に勢いのある若手芸人が多数所属。「よしもと漫才劇場」や「マンゲキ」という場合はこちらの劇場を指すが、同じく大阪の「森ノ宮よしもと漫才劇場」、東京には姉妹劇場である「神保町よしもと漫才劇場」も存在する。神保町の劇場所属メンバーは東京吉本の若手芸人で構成されている。 ↩︎
  3. 【メンバー紹介】ジュースごくごく倶楽部は2019年、堂前タオル(Ba. / ロングコートダディ・堂前)と辻クラシック(Gt. / ニッポンの社長・辻)を中心に結成される。ジンジャエール阪本(マユリカ・阪本)と愛コーラ(ムームー大陸・山﨑)の男女ツインヴォーカル。キーボードにあたし(滝音・さすけ)、ドラムにポイズン反町(シカゴ実業・山本)という6人で構成されている。 ↩︎
  4. 【用語解説】ベッドルーム・ポップ…いわゆる宅録/Lo-Fi(ローファイ(低音質)現在では雑音や不明瞭な音を意図的に使用して作り出したジャンル)ミュージックの派生。2010年辺りからよく使われるようになった用語で、ライブやスタジオなどの音楽活動ではなく、パソコンやスマートフォンなどで音楽制作をし、SNSや配信を通して発信する、正に自室から世界へ発信する音楽ジャンルをベッドルーム・ポップと称する。浮遊感のある心地のいいチルな音楽が多数。 ↩︎
増井 鮫

平成生まれ平成育ち。好きなジャンルは日本のロック・ポップス、インディーズ、メロディックパンク、アイドル。元レコ屋店員。発散場所がなくなったのでブログ開設。売りは熱量のみというしがないオタクです。

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