現行CITY POP

◆邦楽ロック・J-POP

サメちよくん
サメちよくん

2010年代以降になってシティポップのリバイバル・ブームが巻き起こったけど、その間も活躍していたバンドって居るのかな?

DJ SYUMOKU
DJ SYUMOKU

もちろん『現行CITY POP』もしくは『ネオ・シティ・ポップ』という形で、今日まで日々進化を続けているよ。シティポップ創成期である80年代以降に活動を始めたバンドたちもめちゃくちゃ良い作品たちを数々生み出しているから、ぜひ注目してほしいな。

サメちよくん
サメちよくん

シティポップを語るには現行にも目を向けておきたい…ってことですね!?

 前回記事ではシティポップ概論と、更にこれだけは聞いておきたい名盤をご紹介いたしました。

 今回の記事では、現在もシティ・ポップ・シーンを盛り上げて続けている現行CITY POPのアーティスト達やオススメ楽曲、オススメ盤をSAME RECORDS 目線で気が済むまでピックアップ。
 ぜひ今のシティポップも併せてお楽しみください!

現行シティ・ポップ

流線形

 現行シティポップ・シーンにおいて流線形の存在は外せません。
 2001年結成。2006年からはクニモンド瀧口のソロプロジェクトとなった“流線形”は、作品ごとにゲストヴォーカルを招き活動していました。現在は、2024年2月にシンガーソングライターのSincere(シンシア)を正式ボーカルに迎え入れ、“RYUSENKEI”と表記を変えて再出発しています。

 流線形(RYUSENKEI)としてはアルバム4作品(2025年1月現在)ですが、一十三十一や比屋定篤子、ナツサマーといった面々とのコラボアルバムや、様々なアーティストとのコラボ楽曲、シングルなどリリースは多岐に渡るのもソロプロジェクトならではなのかもしれません。
 80年代のシティポップ・ミュージックへの憧れや敬愛のあるサウンドで、00年代にシティポップを蘇らせた立役者こそがまさに流線形なのです。

 オススメするならどれだろうと悩みましたが、個人的に外せないのは1stアルバム『シティミュージック』でしょうか。ゲストボーカルとして迎えているサノトモミの澄んだ心地いい歌声と、ノスタルジー溢れるシティポップ・サウンドが心地いい。カーステレオから流れていたら最高な1枚。

一十三十一

 2002年デビュー。アーバンで艶のあるボーカルが魅力のシンガー “一十三十一”(ヒトミトイ)。
 2010年代以降のシティポップを語る上で、彼女の存在もまた欠かせません。

 一十三十一の作品の中で印象的なのが2012年発売5thアルバム『CITY DIVE』。変名:江口ニカにて流線形のアルバム『TOKYO SNIPER』(2006)に参加している縁もあり、この作品は流線形のクニモンド瀧口プロデュース。シティポップといえばという要素が多数盛り込まれたコンセプチュアルな作品であると共に、一十三十一のボーカルの魅力を最大限に引き出した楽曲たちで聞き応え抜群です。一度は聴いておきたい、名実ともに現行シティポップ名盤

ナツ・サマー

 2016年デビュー。シティポップ・レゲエシンガー“ナツ・サマー”
 愛媛出身で海沿いに住んでいた幼少期からシティポップ、レゲエを聴いて育ったというナツ・サマー。生まれ持ったグルーヴと夏を感じる清涼感のある歌声が楽曲を彩ります。

 2020年夏発売、2ndフルアルバム『HAYAMA NIGHTS』
 水面を揺蕩うような夏を感じるシティポップ・ナンバーを多数収録。クニモンド瀧口プロデュースということもあってか収録されている流線形「3号線」のカバーも良いです。心地よい歌声をぜひご堪能あれ。

土岐麻子

 シティポップの女王とも称されるシンガー“土岐麻子”
 97年結成、ポスト渋谷系バンド“Cymbals”(シンバルズ)のボーカルとしてデビュー。Cymbalsが解散した2004年に、サックス奏者である父・土岐英史プロデュース『STANDARDS〜土岐麻子ジャズを歌う〜』という作品でソロ活動を開始しました。

 作品形態として多くは土岐麻子が作詞を手掛け、作曲陣にゲストを招くというスタイルで、バラエティに富んだ楽曲が楽しめるのも魅力的。ジャズやボサノバ、ポップスや歌謡曲まで歌い上げる土岐麻子の表現力豊かで聴き心地の良い歌声は唯一無二。

 作品数が多いので人の好みによって推薦盤が変わるアーティストだと思いますが、個人的には2010年発売、メジャー4thアルバム『乱反射ガール』が好きです。彼女の歌声が映えるシティポップ・ナンバーは勿論、ノスタルジー溢れる上質な邦楽ポップスも多数収録されていて聴き応え抜群の一枚。

ジャンクフジヤマ

 80年代のシティポップを正統に継承するシンガーソングライター、“ジャンクフジヤマ”
 山下達郎に対する敬愛を感じるスタイル。70年代〜80年代のポップスをジャンクフジヤマならではの感性で現代に蘇らせています。村上“ポンタ”秀一をはじめとする大物にサポートされるなどシーンから熱い期待を受けてきた存在でもあります。

 2013年発売、メジャー1stアルバム『JUNK SCAPE』は、2010年代にシティポップ直系サウンドを甦らせた一枚。ジャケットは永井博の書き下ろし。力強く清涼感のある歌声と世代を超えて伝えたい普遍的な音楽の良さへの熱量を感じる作品。

Pictured Resort

 大阪発シンセ・ポップ・ユニット“Pictured Resort”
 アーバンポップ/シティポップ、ネオアコやAORといったジャンルを内包したバンドサウンドが魅力的。個人的な感想ですが、洋楽ポップスに影響を受けた音楽性がシティポップという文脈に当てはまったのではというような印象を受けました。

 個人的に好きなアルバムは2026年8月発売、ファーストフルアルバム『ALL VACATION LONG』。当初はバンドとして活動しており、現在もバンド編成ではありますがソロ・ユニットとして活動しているPictured Resort。目を閉じれば音楽世界へ没入させてくれる、緩やかな時間の流れるリゾート感たっぷりの楽曲たち。バンドの世界観にあったジャケットアートワークも素晴らしいのでぜひチェックしてみてください。

Yogee New Waves

 2013年活動開始。現行シティポップの最前線を駆け続けるバンド “Yogee New Waves”
 シティポップを知らない世代にも受け入れられやすいだろう、青春の香り漂うネオ・シティポップバンド。もちろんオシャレなんだけれども、日本のポップスやロックへの愛情を感じるバンドサウンドで胸を打ちます。

 2014年9月発売、ファーストアルバム『PARAISO』ですが、タイトルを見て邦楽好きならおそらく思い浮かべるのが細野晴臣の『はらいそ(PARAISO)』という作品。ポルトガル語で楽園という意味を持つこの名盤と同じタイトルをつけることで、細野晴臣やYMO、そしてはっぴいえんどへの敬愛を感じると共に、現代での新たな楽園を再解釈しようとしている作品なのではと感じました。いわゆる都会のシティポップ的な楽曲も非常に心地よいのですが、古き良きサイケポップやファンクな曲もあったりと、ノスタルジーと現代を調和した楽曲群も魅力的です。
 どの曲も良いですが、このアルバムの中で大きな意義を持つだろう「Hello Ethiopia」は個人的にオススメです。

YONA YONA WEEKENDERS

 “ツマミになるグッドミュージック”を奏でるバンド“YONA YONA WEEKENDERS”(ヨナヨナウィークエンダーズ)
 現行シティポップ・シーンでは珍しい、メロコア・パンク出身という異色の経歴ですが、パンクシーンを経由したシティポップサウンドはまさに唯一無二で、オシャレなんだけど、どことなく無骨で泥臭さが滲み出ているのが良い味になっています。溢れ出る人間味と哀愁。肩肘を張らずに聴けるシティポップ。

 2019年11月発売、1st EP『夜とアルバム』は僅か6曲といえど、バンドのコンセプトが色濃く出ている印象的な作品。ブラック企業時代で働いていた時の愚痴を書いたという「明るい未来」は皮肉と諦めと少しの希望を歌詞に乗せながら、ジャムセッションのように遊び心たっぷりに絡み合うバンドサウンドでアーバンポップに仕上げています。都会で働く人々の共感を得ること間違いなしの人間味溢れる楽曲群は、沁みる人にはめちゃくちゃ沁みるはず。
 上記のMV 「R.M.T.T」はヨナヨナらしさが凄く出てて好きなので、このEPには入ってないですがご紹介。オシャレなセレクトショップや喫茶店でかかってそうなのに、実はラーメン食べたいって歌なのが最高です。

LUCKY TAPES

 2014年結成。2023年夏から高橋海のソロプロジェクトとなった“LUCKY TAPES”
 ネオソウルやファンクを感じるバンドサウンドと、キャッチーながらも美しさが光るメロディ。チルな雰囲気でありながらも、静かな熱を内包したような曲が胸を打ちます。

 インディーズ時代の作品とも迷ったのですが、LUCKY TAPESならやはり2018年発売、3rdフルアルバム『dressing』は外せません。耳心地が良いのにスルッと入って抜けていくのではなく、心の中に留まり続けるような中毒性があります。言葉選びにもフックがあって、綺麗事だけじゃないからこそ寄り添ってくれているように感じるのかもしれません。

Lucky Kilimanjaro

 2014年結成。6人組エレクトロポップ・バンド“Lucky Kilimanjaro”(ラッキーキリマンジャロ)
 「世界中の毎日をおどらせる」をテーマに掲げ、シティポップやディスコポップを基調にしたダンスミュージックを自由なバンドサウンドで表現しています。

 80年代の若者と同じシチュエーションで、今の時代の若者が聴くならこういうダンスミュージックがぴったり合うのではないでしょうか。どこかノスタルジーを感じつつもオシャレで遊び心のあるサウンドが、聴いていてワクワクします。キャッチーで口ずさみたくなる気持ちのいいフレーズの数々は、世代を超えて愛されるグッドミュージックです。

 インディーズ時代に1st EP『FULLCOLOR』を聴いた時の衝撃が忘れられないので、オススメするとしたらやはりこの1枚。いつ聴いても全曲イイです。

Kan Sano

 キーボーディストであり、ビートメイカー、音楽プロデューサーとしても活躍する “Kan Sano”(カン サノ)
 ネオソウルやLo-Fi HIPHOP、ジャズなど多様なジャンルを吸収して上質なポップスへ昇華するKan Sano。

 2022年発売6thアルバム『Tokyo State Of Mind』を聴いて、そのセンスの良さを再確認しました。都会の夜のチルな魅力に溢れた大人のシティ・ポップが楽しめるので、夜のドライブのお供にはこれ以上ないと言うくらいぴったりな作品。浮遊感があったり遊び心のあるビートに体が自然と揺れます。フィッシュマンズ「いかれたBaby」のカバーも良かったです。日本語ポップスへの飽くなき探究心を感じる1枚。

総括

 80年代シティポップや周辺ジャンルに影響を受け、特に2010年代から盛り上がり今なおシーンを引っ張っているアーティストたちを一挙ご紹介いたしました。
 2010年代のシティポップの再発掘が進む中で、現行シティポップのシーンも相乗効果的に盛り上がっていったような体感があります。この時代はSuchmosのようなバンドの台頭もあり、ソウル、ファンクといったジャンルを取り入れたバンドが注目されるきっかけにもなっていったように思います。
 2020年代においてもブームが覚めやらないどころか、さらに進化を続けている現行CITY POP。今後は名盤として語り継がれることになるかもしれません。気になる作品があったらぜひチェックしてみてください!

増井 鮫

平成生まれ平成育ち。好きなジャンルは日本のロック・ポップス、インディーズ、メロディックパンク、アイドル。元レコ屋店員。発散場所がなくなったのでブログ開設。売りは熱量のみというしがないオタクです。

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